はじまり

  完全に聴こえなくなったのは今から20年前のこと。その時「人工内耳」を知っていれば、すぐに手術を受けたでしょう。けれども実際は3年間、無為に過ごさざるを得ませんでした。近所の耳鼻咽喉科や聴覚障害当事者団体に接するも、人工内耳の情報を得る機会がなかったのです。それは何故なのか?

  20世紀の成功した人工臓器として世界では認められていた人工内耳が、日本の社会では素直に浸透しなかったからなのです。情報が広まらず、知ることができず過ごした無音の3年間・・・「こんなことがあっていいものか」と憤りを強く感じたことが全ての“はじまり”でした。

  以来、人工内耳に関する情報を社会に広く知らせるべく【特定非営利活動法人・人工聴覚情報学会】を立ち上げ、全国を行脚しました。その活動の中では心無い言葉をたくさん受けることもありました・・・それでも挫けることなく、ただひたすら歩き前進を続けた今。その甲斐あって、と言うのはおこがましいですが、社会の風が変わり「人工内耳は素晴らしい難聴医療」という意識が広がっています。

  「漸くこんな時代が来た・・・」と感慨深かくはあるものの、情報が混沌としたままであることに変わりはありません。「難聴」をキーワードに「ゆりかごから墓場まで」医療・療育・教育、そして人生の全てをサポートする入口が欲しい。専門家集団によって正しい情報をオンラインでタイムリーに得ることができれば、聴こえづらい人生を生きる道しるべになる。それが私の悲願の【難聴オンライン】なのです。

  みみweekをきっかけに【難聴オンライン】の協働のバトンを繋げていきたい。次世代の子供達の為に、共に道をつくり、道しるべを建てていきたい。この【みみウィーク】が新たな“はじまり”になることに期待しています。